所得控除と税額控除

目次

控除には、所得控除と税額控除の2種類があります。

所得控除 内容
雑損控除 生活に必要な資産が、災害・盗難・横領により損害を受けた場合に適用。翌年以降3年繰越される。
医療費控除 治療、療養のための医療費が対象、美容整形は対象外
社会保険料控除 全額控除
小規模企業共済等掛金 全額控除
生命保険料控除 生命保険料(最高5万円)と個人年金(最高5万円)合わせて最高10万円の控除
地震保険料控除 最高5万円
寄付金控除 支出した寄付金の合計と総所得金額の40%でいずれか低い方-2000円
障害者控除 障害者1名につき27万円、特別障害者1名につき40万円
寡婦控除控除 配偶者と死別、離別した者が対象
勤労学生控除 納税者本人が勤労学生であること
配偶者控除 配偶者の所得が38万円以下であること
配偶者特別控除 配偶者の所得が1000万円以下、配偶者の所得が38万円以上76万円未満であること
老人配偶者控除 年齢70歳以上の配偶者の場合
扶養控除 一般扶養者一人につき38万円、特定扶養者一人あたり63万円
基礎控除 無条件で38万円
税額控除 内容
配当控除 配当所得がある場合の控除で、申告分離課税を選択した者を除く
住宅ローン控除 住宅借入金があって一定の条件を満たした場合の控除
災害減免額 雑損控除と同様だが損害額が家財の1/2の場合に限られる
外国税額控除
住宅耐震改修特別控除
認定長期優良住宅新築等特別税額控除
電子証明書等特別控除

雑損控除(所得控除)と災害減免額(税額控除)は、雑損控除は災害、盗難、横領などによる損害を、災害減免額は災害による損害(住宅・家財の価額の1/2以上の場合)に対して控除がされます。

また、ともに共通事項として、

  • 所得が1000万円以下
  • 自己or所得38万円以下の配偶者or生計を一にする親族がこうむった被害
  • 損害保険などで補てんされる金額は差し引く
  • 確定申告以外では認められない

という制約があり、両控除は併用はできません。

所得が1000万円以下の人が、災害によって住宅や家財の価額の1/2以上に損害を受けた場合は、雑損所得と災害減免額のいずれか有利な方を選ぶことができるということです。

控除 計算方法
雑損控除 A:損額金額-保険金等で補てんされる金額-(所得金額合計×0.1)
B:損害金額のうち災害関連支出の額-5万円
AとBいずれか多い方の金額
災害減免額 所得500万円以下:全額免除
所得500万円~750万円:半額免除
所得750万円~1000万円:1/4免除

災害関連支出とは、災害などに関連して住宅家財などの取り壊し又は除去などのための支出を指します。

医療費控除は、自己、自己と生計を一にする配偶者or親族の支払った医療費が、

・所得の合計×5%
・10万円
いずれか低い方(200万円以下)

を超えた時に、超えた部分の金額を全所得から控除として差し引くことができます。

社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、支払った金額の全額が控除可能です。 生命保険料控除は、

金額 生命保険料控除 個人年金控除
~25,000円 全額 全額
25,000円~50,000円 支払保険料×1/2+12,500円 支払保険料×1/2+12,500円
50,000円~ 支払保険料×1/4+25,000円 支払保険料×1/4+25,000円

が控除されます。支払った保険料の全額が対象となるのは25,000円未満で、それ以上は一部のみが控除となります。

生命保険料と個人年金保険料、各5万円、合計10万円最大で控除することができます。

地震保険料控除は、支払った保険料が5万円以下なら全額、5万円以上なら5万円控除されます。

寄付金控除は、

・所得の合計×40%
・寄付金の額
いずれか低い方(適用下限2,000円))

寡婦(寡夫)控除は、死別or離別後再婚していない人や、配偶者が生死不明等の場合に適用されます。

扶養親族or所得38万円以下の子があるor自己の合計所得が500万円以下 27万円
扶養親族or所得38万円以下の子があるand自己の合計所得が500万円以下 35万円

勤労学生控除は、勤労学生であって、合計所得金額が65万円以下、及び勤労所得以外の所得が10万円超の人はこの控除を受けることができません。

条件に適合していれば、27万円の控除が受けれます。

障害者控除は、配偶者やその他親族が障害者や特別障害者である場合の控除です。

障害者 27万円
特別障害者 75万円

配偶者控除や扶養控除を受ける配偶者及びその他の親族がいる場合に限り受けることができます。

障害者とは、身体障害手帳や戦傷病者手帳、精神障害者保健福祉手帳の発行を受けている者等であり、特別障害者とは、障害者のうち身体障害者1級又は2級の者、精神障害者1級の者等特に重度の障害がある者を指します。

配偶者控除は、控除対象配偶者(合計所得38万円以下)がいる場合の控除です。

一般配偶者 38万円(特別障害者は73万円)
老人配偶者(70歳以上) 48万円(特別障害者は83万円)

配偶者控除は、配偶者特別控除との併用はできませんが、障害者控除との併用は可能です。

配偶者特別控除は、生計を一にする配偶者がいる場合で、配偶者の合計所得金額が38万円~76万円の場合に受けることができます。

配偶者が働いていなくても、公的年金の支給がある場合は、年金額の合計所得が上記の範囲に入っていなければなりません。

配偶者の所得金額 控除額
~380,000円 0円
380,001円~399,999円 38万円
400,000円~449,999円 36万円
450,000円~499,999円 31万円
500,000円~549,999円 26万円
550,000円~559,999円 21万円
600,000円~649,999円 16万円
650,000円~659,999円 11万円
700,000円~759,999円 6万円
750,000円~759,999円 3万円
760,000円~ 0円

ただし、配偶者特別控除を受けるためにはいくつか条件があります。

  • 合計所得が1000万円以下である(配偶者でなく受ける人の)
  • 生計を一にしている
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないor白色申告者の事業専従者でない

扶養控除は、扶養親族がいる場合の控除です。

扶養親族とは、生計を一にしていて、合計所得が38万円以下の配偶者or年齢が16歳未満の人以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族等他かつ、青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない又は白色申告の事業専従者でないもの)のことです。

特定扶養親族とは、扶養親族のうち年齢が19歳以上23歳未満の人のことです。

老人扶養親族とは、扶養親族のうち年齢が70歳以上の人のことです。

区分 同居特別障害者 左記以外
一般扶養親族(16歳~18歳、23歳~69歳) 73万円 38万円
特定扶養親族(19歳~22歳) 98万円 63万円
老人扶養親族(同居老親等) 93万円 58万円
老人扶養親族(同居老親等以外) 83万円 48万円

基礎控除は、全ての人に適用される控除で38万円控除されます。

配当控除のうち、

  • 配当所得(上場株式、投資信託分配金などのうち申告分離課税を選択したもの) 申告分離
  • 配当所得(特定目的信託の社債的受益権の収益の分配などの所得) 源泉分離

以外の配当所得に対して、課税所得金額の1000万円以下の部分に対して10%、1000万円を超える部分に対して5%の控除があります。

つまり、分離課税以外の所得の合計から所得控除を引いた課税所得金額が800万円、配当所得が300万円だったとすれば、200万円に対して10%(20万円)、100万円に対して5%(5万円)で、計25万円分だけ配当所得の300万円から引いて、実際の課税配当所得は275万円ということになります。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、自己の居住用家屋を取得または増改築等をして、その資金を住宅ローンにより調達した場合に利用できます。

利用するための条件は以下の通り、

  • 家屋の新築・購入・増改築などから6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住すること
  • 控除を受ける人の年間所得が3000万円以下であること
  • 取得した家屋の床面積が50㎡以上で、床面積の50%以上が自己の居住用であること(中古はさらに一定の基準を満たす)
  • 増改築などの場合、工事費用が100万円以上
  • 居住した年~前々年以内(or翌年~翌々年)に、居住用財産の譲渡の特例を受けていないこと

控除の期間は、10年間、住宅ローンの返済期間が10年以上であることを条件として、一定の金額について、毎年1.0%の控除を受けることができます。

たとえば、控除対象借入金が平成23年度で5000万円だったとすれば、23年度の限度額が4000万円であるので、5000万円のうち4000万円に対して、その1%である50万円分の控除が受けられることになります。 確定申告をすれば、源泉徴収でおさめた税金の50万円が銀行口座へ戻ってくることになるわけです。 ただし、3年目に3800万とかを一部返済してしまって、返済期限が35年から9年に短縮されてしまったとすれば、10年以上を満たさないため、4年目以降は受けることができなくなります。

参考:住宅ローン控除の申請について

タックスプランニング

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